いびきに悩んでいる方の中には、「マウスピースって本当に効果があるの?」と半信半疑な人もいるかもしれません。
実は、マウスピースは医療現場でも使われる信頼度の高いいびき対策の一つです。特に軽度~中等度の睡眠時無呼吸症候群に対して有効性が示されており、専門医によって処方されるケースもあります。
本記事では、「いびき防止 マウスピース 効果」というキーワードをもとに、仕組みや効果、メリット・デメリット、市販品と医療用の違い、そして向き不向きまで詳しく解説していきます。
最適なマウスピース選びの参考にしてみてください。
マウスピースとは?いびきを防ぐ仕組みと種類
口に装着して気道を確保する器具
マウスピースとは、口に装着することで気道の閉塞を防ぎ、いびきを軽減するための器具です。いびきは、睡眠中に舌や軟口蓋(のどの奥の粘膜)が重力で下がり、気道を狭めてしまうことで発生します。
マウスピースはこの現象を防ぐために、下あごや舌の位置を前に押し出して気道を確保するという働きを持っています。
主な2種類のマウスピース
いびき防止用マウスピースは大きく分けて2つのタイプがあります。
① 下顎前方移動型マウスピース(スリープスプリント)
・睡眠時無呼吸症候群の治療でも使われる
・下あごを前に出すことで気道を開く
・医療機関でオーダーメイド製作が可能
② 舌保持型マウスピース(TRDタイプ)
・舌を固定して喉への落ち込みを防止
・シリコンなど柔らかい素材で装着感は軽い
・一部の市販品でも購入可能
このように、原因や症状に応じて適したタイプを選ぶことが重要です。特に医療用のものは歯科や睡眠外来で処方されるため、より高い効果が期待できます。
マウスピースの効果とは?実感しやすい人とそうでない人の違い
マウスピースによるいびき軽減の仕組み
マウスピースは、下あごや舌を前方に誘導して気道の確保を助けることで、いびきの原因である気道の振動を抑える仕組みです。これにより、特に**仰向けに寝たときに起こる「舌の沈下によるいびき」**には高い効果を発揮します。
また、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の中でも、**軽度から中等度の閉塞型SAS(OSA)**に対しては、CPAP(シーパップ)療法の代替として保険診療でも採用されているほどです。
効果を実感しやすい人の特徴
以下のような人は、マウスピースによるいびき防止効果を感じやすい傾向があります。
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軽度〜中等度の睡眠時無呼吸症候群と診断された方
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仰向け寝のときにだけいびきがひどくなるタイプの人
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口呼吸・肥満が原因ではないいびきに悩んでいる方
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歯並びが比較的整っていて装着に支障がない人
これらのケースでは、マウスピースを継続使用することで、日中の眠気や倦怠感の改善も期待できると報告されています。
効果を感じにくい人・使用が難しい人の特徴
一方で、以下のような方はマウスピースだけでは十分な効果が得られない場合があります。
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**重度の睡眠時無呼吸症候群(AHI≧30)**の方
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口呼吸がメインの人(鼻が詰まりやすい)
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肥満によって気道自体が狭くなっている方
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歯が少ない・入れ歯を使っている・顎関節症がある人
このような場合には、CPAP療法や減量、鼻の治療などとの併用が推奨されるケースもあります。
また、歯科での調整がうまくいっていないと、装着時の違和感や顎の痛み、歯の移動などの副作用も生じることがあるため、医師との相談が重要です。
市販マウスピースと医療用マウスピースの違い
マウスピースはドラッグストアやネット通販などでも手軽に購入できますが、医療機関で作られるものとは大きく異なる点があります。ここでは、両者の特徴や違いを詳しく比較していきます。
市販マウスピースの特徴とメリット・デメリット
【メリット】
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手軽に購入できる(価格は2,000~5,000円程度)
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自宅で試せるので初めての人でも気軽
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返品保証付きの商品もある
【デメリット】
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自分で成形・調整する必要がある(フィットしづらい場合も)
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効果に個人差が大きい
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顎関節や歯に負担がかかることがある
市販品は「まずは試してみたい」という方には適していますが、根本的な改善や継続使用には限界がある場合もあります。
医療用マウスピース(スリープスプリント)の特徴
【メリット】
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歯科医が口の形に合わせてオーダーメイドで作成
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下あごの位置や角度を医学的に調整できる
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睡眠時無呼吸症候群に対して保険適用されることもある
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定期的なチェック・調整が受けられる
【デメリット】
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保険適用でも1~2万円程度、自由診療だと3万円以上かかることも
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診療時間・通院が必要
医療用マウスピースは、本格的にいびきを改善したい人や医師から治療を勧められた人にとって、より信頼性の高い選択肢といえるでしょう。
マウスピース使用時の注意点と副作用について
マウスピースはいびき防止に効果的なアイテムではありますが、正しく使用しないとトラブルの原因になることもあります。ここでは、使用前に知っておきたい注意点や副作用について解説します。
装着前に清潔な状態を保つ
マウスピースは毎晩長時間、口の中に入れて使うものです。そのため、使用前後は必ず水洗いし、専用の洗浄剤やブラシなどで清潔に保つ必要があります。汚れたまま使うと、口内炎や歯周病、口臭の原因となることもあります。
また、ぬるま湯(40℃以下)で洗うことが推奨されており、熱湯は変形の原因になるため避けましょう。
慣れるまでに違和感を感じることも
初めてマウスピースを装着する際、多くの人が違和感や圧迫感を感じます。特に市販のものは自分の口に完全にはフィットしないことも多く、慣れるまでに数日〜1週間ほどかかることもあります。
違和感が強くて睡眠の質が落ちてしまう場合は、一度使用を中止し、別のタイプを試す、あるいは専門医に相談するのがおすすめです。
顎関節や歯にかかる負担に注意
長期間使用することで以下のような副作用が起こることがあります:
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顎関節への痛みや違和感(特に朝起きた時)
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歯の位置の移動・かみ合わせの変化
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口の乾燥や唾液の分泌過多
特に強く固定するタイプのマウスピースや、不適切に装着されたものは顎や歯に過剰な力がかかることがあり、定期的な歯科チェックが重要です。
症状が悪化した場合はすぐ中止を
マウスピースを使い始めてからいびきがひどくなった、眠れなくなった、顎が痛くて食事がつらいなどの症状が出た場合は、すぐに使用を中止してください。そのまま使用を続けると、歯列不正や顎関節症を引き起こすこともあります。
安全かつ効果的に使うためには、医師または歯科医との連携が大切です。
いびき対策としてのマウスピースの総まとめと選び方のポイント
自分の症状に合ったマウスピース選びが鍵
マウスピースは、原因が特定されており、軽度〜中等度のいびきや閉塞性睡眠時無呼吸症候群の人に特に有効とされています。しかし、すべてのいびきに効果があるわけではありません。
まずは自分のいびきのタイプを確認し、仰向け寝で悪化するか、肥満が関係しているか、口呼吸かどうかなどを見極めることが大切です。その上で、適切なマウスピースの選択が必要です。
市販品と医療用のどちらを選ぶべきか
以下に、市販品と医療用それぞれの選び方の目安を簡単に整理してみましょう。
状況 | おすすめのタイプ |
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とりあえず試してみたい | 市販のマウスピース(安価・手軽) |
睡眠中の違和感が強い | 医療用マウスピース(フィット性◎) |
軽度~中等度のSASと診断された | 保険適用のスリープスプリント |
顎や歯に不安がある | 歯科医の指導を受けることが必須 |
どちらにしても、合わないと感じたら無理に続けず、専門医への相談が最も確実な対策です。
その他のいびき対策と併用も有効
マウスピース単体で改善が難しい場合は、以下のような他の対策と併用することが勧められます。
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横向きで寝る習慣をつける
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減量や適度な運動
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アルコールの摂取を控える
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就寝前の鼻うがいや鼻づまりの解消
これらの生活習慣の見直しも、マウスピースの効果を最大限に引き出すカギとなります。
まとめ
いびきは放置すると本人だけでなく家族にも大きな負担を与える問題です。
マウスピースはその解決手段として有効な方法の一つですが、選び方や使い方を間違えると逆効果になることもあります。
自分に合ったタイプを見極め、正しい方法で使用することが、快適な睡眠といびきの改善につながります。市販品で効果が出ない場合は、遠慮なく専門医に相談することをおすすめします。
参考・引用URL
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睡眠健康推進機構|スリープスプリントについて
https://sleeplabo.jp/sleepsprint.html -
日本耳鼻咽喉科学会 睡眠時無呼吸症候群Q&A
https://www.jibika.or.jp/qa/qa_27.html -
厚生労働省 e-ヘルスネット「いびき」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-082.html
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